シンガポールで通訳

社内通訳だった頃の悩み

社内通訳だった頃の悩み

新卒で入った会社では日本人の社長について通訳をしていました。社会人経験もない20代半ばの時です。それに対して社長は50代半ば。

社長は部長など直属の部下に指示を出します。たまには強く「ここがきちんと出来てない!」と怒りながら発言されたことも。

考えてみてください。

部長たちは当然私よりはるかに社会人経験も人生経験も豊富な方たち。みんな40代後半くらいだったと思います。

そんな方たちに対して、入社したばかりの20代半ばの私が社長のお言葉を「You didn’t do it properly!」と通訳しなければならなかったのです(ちょっと怒りながら)。

通訳は言われたことを言われた通りに訳さないといけません。通訳の原則に従って一生懸命社長の言葉を忠実に通訳していました。

でももちろん20代の小娘に偉そうなこと言われたと思う人たちもたくさんいました。

学校で教えられたように通訳として正しいことをしていただけですが、社内通訳では「私は悪くないんだし!」という態度でいれば他のスタッフとうまくやっていけません。当然、通訳の仕事はこういうものということを理解していない人もいました。

私の通訳で少し怒らせてしまった部長たちに対して、後から部屋に行き、「さっきはごめんなさい。社長の言葉をそのまま訳さないといけなくて。」と謝っていました。

ちなみにフリーランス通訳の今もこういう場面に遭遇します。

日本から派遣された技術者が現地工場の技術者に指示を出すときに「通訳さん、横着すんな!って言ってやって」と。

社内の人間ではないので昔のように気まずい思いはそこまでしなくても通訳することができます。でも気まずい思いを全く感じないわけではないですが。