翻訳

どうやって翻訳するの?

今日は翻訳作業について説明したいと思います。

最近ではあまり翻訳の仕事を受けていないのですが、それでもできる時は日英に限ってなるべく引き受けるようにしています。

翻訳って何?

そもそも通訳と翻訳の違いがあまり知られていないように感じます。

通訳で現場に行っても、お客さんに「今日は〇〇を翻訳していただきたいと思っています!」とか言われます。翻訳ではないですね。話し言葉を訳すのは通訳です。

翻訳は、文章を訳す作業のことです。書き言葉を訳す作業です。

お客さんから文章を提出してもらって、それを別の言語に訳します。私の場合であれば英語から日本語です。

翻訳の流れ

私の翻訳の仕方をご紹介します。

1.お客さんから文章を提出してもらう。上書きで訳していくのでワードファイルが一番扱いやすいです。

2.内容を確認して、いつ頃に訳し終えることができるか伝えます。どのお客さんもなるべく早く仕上げて欲しいと仰いますし、その気持ちも理解できます!ベストを尽くしています。

3.期限を伝え、料金に同意してもらう。

4.訳にとりかかる。2で内容をざっと読んでいるので、その全体像を頭の片隅にいれながら細かいところに注意して一文一文訳していきます。意訳するより、原文に忠実に一語一語を大事にしながら訳します。訳しながら疑問に思ったり、後で確認したいことが出てきた場合(この日本語の表現で読む人に伝わるのだろうか?など)、コメント欄に入れていきます。独り言のようなものです。

5.訳が仕上がったら一日寝かす。訳を終えても同じ日には修正しません。どうしても頭でどう訳したかを覚えていて、純粋に流れや文法、自然な日本語の表現などを何も考えないで確認することが難しいからです。

6.次の日、プリントアウトする。こちらも私がこだわっている点です。画面上では見逃してしまう漢字の間違いを見つけやすいからです。(今この記事を書いている最中にも自分では”漢字”と書いたつもりが、”感じ”になっていました)また、紙でみると全体の流れが把握しやすいという利点もあります。

7.紙に直接書き込んで修正する。プリントアウトした紙に文法が正しいか、漢字ミスがないか、段落ごとに読んだ際にすっと読めるか、読む人に伝わりやすいかなどの点に気を付けながら修正を加えます。直訳よりも、自然な表現が使えているかを重視します。全体の流れを大事にします。また、コメント欄に入れた独り言も確認していきます。

8.紙ベースでの修正が終わったら、ワードファイルで修正する。

9.納品。

ビクターさんの翻訳

 

こちらが実際の翻訳作業で使ったものです。シンガポールの彫刻家ビクターさんについて書かれた文章を翻訳したときのものです。ビクターさんは2020年3月17日から京都で個展を開催される予定です。その時に使われる文章です。

注:通常の翻訳ですと守秘義務がありますので、このように公開することはありません。あらかじめビクターさん側からこちらのブログに載せる許可を頂いております。

まとめ

翻訳作業は本当に地味な作業です!一人でこっちのほうがいいだろうか、いやどうだろうと延々と考えてしまい、いつまで経っても終わらないことが多々あります。なので私は最初に訳す段階であまり考えすぎないようにして直訳でいいのでえいやっと訳すようにしています。でも修正の段階でどうしても行ったり来たりしてしまうこともあります。

でもそれこそが翻訳の醍醐味かなと思います。

翻訳作業の説明で使ったビクターさんの文章などは、何通りも表現方法があり、それを紡ぎ出していく作業がとても楽しかったです。ビクターさんの伝えたいメッセージ、それがうまく伝わればいいなと思って心をこめて訳しました。

こういった心に響くメッセージをこれからもたくさん悩みながら翻訳していけたらなと思います。